一人でも多く患者さんを診療するため、ミーティングを念入りに行います。 |
私がこのSCHECの活動に初めて参加したのは今から5年前、歯科医師になったばかりのことでした。知り合いの先生に誘われたのがきっかけでしたが、行く前はやはり不安が多くありました。食事は口に合うのか、衛生面は、感染症対策は、地雷は・・・。
カンボジアという国自体への不安もさることながら、自分の技術にも大きな不安がありました。当時は満足に抜歯ができたことがなく、「抜歯が中心」と言われていただけに、何もできず足手まといになってしまうのではないかと感じていました。
実際にカンボジアに着いて、まず食事面の不安はすぐ解消されました。確かに国民のほとんどが何らかの感染症にかかっていると言われ、不幸にも病院に行けず、治療はおろか自分が何の病気に罹っているのかも分からない方が多くいます。また、レントゲンもなく、タービン等、切削器具もない状態で治療を行わなければならないので、日本よりも不自由なのは事実です。しかし、そんななかで、多くの患者さんの処置を行うことは大きな自信にも繋がりました。日本にいるよりも何倍も濃い経験ができました。
言葉の不安がある方もいるかとは思いますが、私は3回参加したのにもかかわらず、覚えた単語は「口を開けてください」、「閉じてください」、「痛い」、「ありがとう」の4つだけです。それでも何とかなりました。
今の日本では当然保存できる歯を、カンボジアでは抜歯するケースが多いので、心が痛むことがあります。今後の課題になってくると思います。
年に1度、カンボジアで治療を行うことが、今や自分にとっては恒例行事となっていて、普段の生活の大きな気分転換にもなっています。多くの先生方が参加されることを祈念しております。 |