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活動レポート
第31回SCHECカンボジア支援活動報告  17年11月
 さて、今年も11月18日から23日まで31回目となるカンボジア支援活動を行って参りましたので、ご報告いたします。今年度は2002年6月に「NPO法人カンボジアの健康及び教育と地域を支援する会(SCHEC)」を設立して以来、15周年に当たります。設立当初はまさかこんなに大きな活動になるとは夢にも思っていなかったのですが、まさに「継続は力なり」です。井戸・学校視察チーム28人、歯科診療チーム40人、合計68人の参加を得て、充実した活動を行うことができました。
 井戸は新たに106本の寄付を頂き、為替差益分を含めて、110本掘ることができました。これまでに掘った井戸はこれで3000本になりました。また小中学校は25校目となる小学校を建設し、歯科診療は約800人の小中学生や村人を診療してきました。
【井戸掘り事業】

 今年は11月から始まる乾季になっても雨が残り、農村地帯に水溜りが目立ちました。特に20日に回った地域では、川の水が溢れ、道路が水没、幸いコンクリート舗装だったために、マイクロバスも通過することができました。しかし、青く稲穂をたたえた水田地帯に入ると、たちどころに細い道がぬかるみ寸断されており、数か所でその辺に転がっている木やヤシの葉でにわか仕立ての「舗装」を行い、水につからないよう用心して渡らざるを得ませんでした。それでも滑って水溜りに落ち、しまいには諦めて、靴の中に水が入ろうがお構いなしに、じゃぶじゃぶと渡る人もいました。これほど悪条件で井戸を視察したことは15年のうちでも初めての経験だったかと思います。3000本目の井戸はパートナーのシアン・ナム国会議員や現地の井戸掘り職人と一緒にみんなで記念撮影を行いました。また2999本目の井戸は、初めての人を中心に井戸掘りの体験をしました。
【学校建設事業】
 昨年に続き、正会員の島村佳孝さんが小学校を寄付してくださいました。シェムリアップの町から西方面に約50q行ったクロラン郡スロナール地区スレン村に島村さんの名前を入れて「スレン・島村・サンキム小学校」が完成しました。開校式を19日午前に執り行いました。サンキムとはカンボジア語で「希望」の意味です。残念ながら島村さんは直前に体調を崩され臨席できませんでしたが、代わって、小学校の同級生である瀧澤太一さんがあいさつされました。鉄筋コンクリートの5教室の校舎です。
 スレン村とコックチャス村の生徒235名が午前午後の2部に分かれて通います。2村の人口は約1600人ですが、これまで生徒たちは3q離れた小学校に通っていました。国道を歩いて通うために交通事故などが心配されましたが、それも解消されます。また今後は近隣の村の生徒たちもこの学校に通うことになるだろうとのことでした。小学校ができたことで村のランドマークにもなり、村人たちも大変喜んでいるようでした。

 カンボジアでは子どもたちが増え続ける一方で、小中学校の校舎の数がまだまだ足りません。校舎が不足しているために、待機児童の割合も多く、特に都市部と農村部の格差が拡大している状況では、農村地域の学校インフラの整備が必要です。SCHEC15周年記念事業の締め括りとして、来年4月を目標にさらに学校を建設するべく、建設予定地を視察してきました。
 一つはプーム・コム・ルー小中学校です。特に中学校は5つの村、プーム・コム・ルー村の他にスレン村、マハーサマキ村、ミアンチェイ村、スロナール村から生徒が通うのですが、小学校の教室を一部借りて授業を行っているとのことでした。現在350名の中学生が通っていますが、そのほかに5村の小学校の卒業生300人余りが別の中学校に通っているそうです。前に視察したスレノイ中学校で約1000人の待機児童がいたように、ここでも中学校に通えない生徒が毎年40名は生じるとのことでした。先のスレン・島村・サンキム小学校から約12q離れているとのことです。
 もう一つはサンボア小学校です。現在、クロライン郡サンボア地区サンボア村とドムナック・クーチャス村の幼稚園児から小学6年生まで302名(うち157名が女の子)が通いますが、毎年60名が入学するとのことです。現在の校舎は1996年に建設されたかなり古いもので、雨漏りを始め、かなり傷んできているとのことでした。昨年に道路が整備されるまではでこぼこのかなりの悪路で、雨季には小舟を出さないと近づけないようなところだったそうです。
 ▲中学校建設予定地 ▲1996年以来の小学校の校舎内と吹き抜けの粗末な校舎
【歯科診療活動】

 今年は歯の磨き方を教えるブラッシング指導やエプロンを使った「エプロンシアター」で教える衛生教育、そして歯科検診・治療と、毎日3か所に分かれて活動しました。この数年参加いただいている若い歯科医師たちの発案で、SCHECのロゴの入ったユニフォームもでき、炎天下の青空診療所に色を添えました。下記は歯科診療担当の関田理事のレポートです。

 《平成29年11月18日より21日まで4日間、シェムリアップ州で歯科診療活動を行いました。歯科医師 歯科衛生士 歯科技工士 看護師 歯科助手、ボランティアの方々、総勢40名が参加されました。18日は診療器材の整備、薬剤の整理を行い、19日より診療を開始し、サマキ小学校とコックトロックルー中学校で、20日はスレノイ小学校とスレノイ中学校およびコックトロックルー中学校で、21日はルビア小学校、スレノイ中学、コックトロックルー中学で診療を行いました。
 スレノイ中学では併設の赤坂デンタルセンターを利用して、看護師、歯科衛生士およびタン先生により一般衛生と口腔衛生に関する講習を2回に分け(2日間)、全校生徒に行いました。他の診療現場でも同様に歯科衛生士がエプロンシアターにより口腔衛生の実習を行いました。3日間の診療で昨年同様、約800名のカンボジア地域住民に歯科医療活動を行いました。
 現地では歯牙および歯並びに対する審美的要求、咀嚼への要求が年々強まっており、患者は歯石除去、歯牙のクリーニング、歯の保存修復を希望するようになり、抜歯を選択する患者は少なくなっています。しかし、患者の希望とは裏腹にセルフケアが不十分で歯石の付着、着色が著しく、都市部では適切なブラッシングの習慣づけが課題だと思われました。他方、都市周辺の農村では、若年者から相変わらず歯牙の齲蝕崩壊が著しく、抜歯の対象となる状態です。まだまだブラッシングの習慣づけより、健康な歯がなぜ必要なのかの啓蒙が必要な状態です。
 年一度の歯科活動ですが、治療後のフォローも以前から必要を感じていました。今回赤坂デンタルセンターのあるスレノイ中学校の校長・教員、近隣の歯科医院、いつも協力いただいているタン先生との診療連携が出来ました。早速、中学校から3名の学生がタン先生を訪ね、診療を受けたそうです。ただし、我々の診療の後始末でなく、我々の診療中に、1回では診療困難な症例をタン先生が見かけその患者に名刺を渡したことからの発展です。我々の診療によりカンボジアの地域歯科状況が改善しているのではと感じています。》
【日本語教育支援事業】

 梶原九州男理事が中心となって大分県のメンバーの方たちが毎年中学校3校の生徒たちと交流しています。もとは梶原理事が寄付されたコックトロック・ルー・サンキム中学校の生徒たちの日本語を覚えたいという要望から始まったものですが、週2回の授業で日本語もけっこう上達しているようです。今回は授業参観とカルタ遊びで交流しました。また種子の油脂成分が高く、将来は油脂製品の原料が採取できるジャトローファという校庭に植樹した木も順調に育っています。
【その他のこと】

 1) 孤児・児童養護施設へキーボード3台贈呈:東京では少子化の影響で小学校の統廃合が進んでいます。先の島村さんのお力添えで、東京・江戸川区の廃校となった小学校に残った電子オルガンやキーボードを施設に贈ることになりました。グループのみなさんで手分けして、まず軽いキーボードを手荷物で運んでくださいました。当初、これまで建設した中学校に贈呈しようと考えたのですが、まだ電気も十分でなく、しかも音楽の授業がないため教師もいないことから、シェムリアップの街中にある施設に寄贈することになりました。HONOR VILLAGE CAMBODIAというこの施設では、欧米から来た学生が1年間、ボランティア活動をしています。その中にはきっとキーボードを弾ける人がいるに違いないと踏んでのことでしたが、見事に予想が当たりました。大勢の子どもたちの前でその腕前を披露してもらいました。

 また東京・中央区の幼稚園や小中学校の子どもたちが持ち寄ってくれた文房具も寄贈しました。一昨年から続いている活動で、今回が3回目です。これまでも農村の小学校などに寄贈してきました。
 この施設はもともとイギリス人女性が始めたものですが、引退された後、写真のシルビア・マックレイノルズさんとご主人が移り住んで、メンター(指導教官)になられています。カナダの方です。SCHECとの縁は2年前に、ポータブルミシンを寄贈したことから始まりました。新品同様の中古品でしたが、これまで度々、井戸を寄付していただいていた方からのお申し出で寄贈させていただきました。ミシンは大活躍しているとのこと、シルビアさんは今回のプレゼントにも大変喜ばれていました。
 
 2) 大宮シティロータリークラブから歯科診療台や歯科器材・薬剤購入費用の寄付:毎回、器材や薬剤の購入は悩ましい問題です。診療台は現地の歯科医タンさんの特注品で、青空診療所で活躍しています。この度、それらの費用をご寄付をいただき、診療に役立てることができました。今後1,2年の内には新たに校舎建設の計画も頂きました。
 
 3) その他のご寄付に感謝します:ライオン株式会社からは毎回2000本の歯ブラシをいただいております。歯科診療ばかりでなく、「きれいな水でなければ歯も磨けない」をモットーに井戸の視察でも、村の人たちに歯ブラシを配っています。今回はスレノイやルビア小学校の生徒数が多いため、さらに1000本多く頂きました。また、世界地図社やセクダム、三井住友海上国際業務部ほか、札幌の西高校生徒会、大分グループの方々、東京のグループの方々、個人の方々から井戸の寄付を毎回いただいています。15周年の年に3000本を達成できたのも、みなさまのおかげと心より感謝します。

 この15年、SCHECは「この指とまれ」方式で、一人ひとりの発意、意思を大事にしながらやってきました。稲盛和夫氏の「アメーバ経営」ではありませんが、一人ひとりが主人公です。非常に緩やかな組織です。そうして何とか15年が経ちました。イチローの言う「継続は力なり」でしょうか。そしてこの15年の節目は一つの通過点と思います。この先どうなるのか、いずれにせよ、みなさまにご協力を仰がなければいけません。まだまだ至らぬところも多いかと思いますが、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
 ▲カンボジアの農村で見かけた美しい花々
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