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ボランティア体験記
「SCHEC活動に思う」

三宅宗夫さん (第9回SCHECカンボジア支援活動 06年11月参加)

 昨年11月下旬、雨期になるとその面積が3倍になるというトレンサップ湖の水面をかすめ、カンボジア・シェムリアップ空港に着陸した飛行機は、乗客の大半が観光ツアー客で占められていた。飛行中から大騒ぎの各国観光客が先を争うようにimmigration窓口に殺到する光景には、かつての日本、バブル絶頂期を髣髴させるものがある。世界遺産アンコールワットの遺跡への関心は、ここ数年飛躍的に高まりつつあるようで、ホテル等観光施設への海外よりの投資は、目を見張るものがあります。事実、我々が到着する数日前にも韓国の盧泰愚大統領ご夫妻が当地を訪れ、大々的投資・支援を約束した模様で、飛行場の正面に大統領夫妻の大きな写真が飾られていました。シェムリアップ空港の施設も、一年前とは様変わりで、新築の建物に小奇麗な物販・飲食店舗が並んでいる通路を出ると、きれいに舗装された駐車場には、ツアー客迎えのバスがひしめいている状態で、またまたびっくり。

 飛行場から活動拠点となるホテル“シティー・アンコール”へは、車でものの20分。このホテルは、我々のNPO活動に、暖かいご協力・ご支援戴いているカンボジア国会議員シアン・ナム氏経営するホテルで、同氏のご好意により毎回活動拠点として使わせて戴いている所です。ホテルのロビーには、啓蒙活動の一環として、我々NPO活動状況を写真掲示までして戴いているご配慮に、いつも感謝!

 翌日からは、さっそく活動開始。

 観光客とは反対方向へ、未舗装で大穴の空いた田んぼのあぜ道風の道路を、縫うように走ること二時間、橋が壊れて川の浅瀬を渡るヒヤヒヤ走行の果て到着した村々は、十年一日が如き変わらぬ光景でした。そして、地下水採掘作業・井戸設置等の確認過程で見たものは、全く変わらない人々の生活であり、全く変わらない人々の笑顔でした。雨期には湿地となる為、高床式のバナナや椰子の葉で葺いた、八畳ほどの小屋に家族4〜5人が暮らしており、付近に井戸が無い所では、雨水を溜める大きな瓶が小屋の傍らに置いてある。

 そんな昔ながらの生活が、世界遺産アンコールワットを擁する観光都市シェムリアップのほんの40〜50Km離れた所で、観光狂想曲とは隔絶した多くの地域に、いまだに存在しているのです。かつて知識人の10人に9人が殺されたポルポト政権時代を経験した彼らにとって、生活向上を求めないこと、知識習得を求めないこと、あるがままに生活することが、生き抜く唯一のすべと信じているのではないか、と思ってしまうような、感謝を表しながらも、戸惑うような彼らの笑顔。第二次大戦後、進駐軍の兵士に向けた日本人のあいまいな笑顔が、こうであったのではな いのなか、と思うような笑顔。私たちが、人間として対等の立場でNPO活動を推進し、又それを受け入れる人々も対等の立場で笑顔を交わせるようなボランティア活動を目指す自分自身にとって、これで良いのだろうか・もっと他にやり方があるのではないだろうか?といつも反省を喚起する笑 顔でもあります。

 一番の喜びは、子どもたちの笑顔です。初めての出会いでは蜘蛛の子を散らすように逃げる子どもたち、(観光遺跡の周りの子どもたちは、“社長さん・シャチョウサン”と寄ってくるが、)暫くすると、年長者を先頭に傍にそっと来て、我々の配る学用品(ノート・鉛筆・ボールペン等)・おもちゃ (風船・人形・ボール等)におずおずと手を出し、笑顔で小さな両手を合わせてお礼をする様に、自分自身が彼らにボランティアされているような感動すら覚える瞬間です。

  平成2年6月より開始したカンボジア・シェムリアップを中心に約100Kmの範囲に亘るSCHECの活動は、井戸700本以上・小学校8校・2000人を超える歯科診療活動を実現する成果をおさめているとはいえ、まだまだNPO活動としては緒についたばかりで、子どもたちの笑顔を毎年この目で見られる為にも、我々の環を広げる必要性を強く感じます。

 ほんの少しの好意が、多くの人々の喜びに繋がる。その喜びが、ほんの少しの好意をなした多くの人々の感謝に繋がる。そんな幸福の循環を広めて行ければ、と、思う私たちです。
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